マンションの遺産相続

死亡ぎりぎりが許されないならと、まだ元気なうちにマンションを建てたはいいが、当分の間は赤字経営となるはずだったマンションが、予期せぬ家賃上昇で富を生んでしまい、その分の税金と相続税を払わなければならなくなってしまったのだ。あるいは、マンションの遺産相続をした人の遺産相続税が、建てなかった場合よりはるかに増えてしまったという話もある。このように、マンション建設による相続税対策は政策によって破綻してしまったのである。これらの現象を悲劇と見るか喜劇と見るかは、その人の立場で異なるが、いずれにしてもバブルが生んだ人間模様のひとつであることには違いない。そもそも、付け焼き刃的に、相続税を払わず、しかもやがて儲かるという都合のいい発想でマンションを建てたのが間違っていたのだろう。しかし、見方を変えれば、彼らもバブル現象が生んだ被害者ともいえる。生まれも育ちも近郊農家の家庭だった子弟たちが、肥大化する都市化現象のなかで、自らの人間性を失いバブルの流れに身を投じたために傷を負ったのである。だが、はっきりしていることは、彼らに相続税の節税をそそのかし、マンション投資をすすめたマンション開発業者は、何の不利益もこうむってはいないのだ。不動産屋とはしょせんそういう生き物なのだろう。

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